沖縄県では、戦後の法律の課題や復帰以降の法律の周知などの課題によってお墓の所有権が複雑な問題として家族や親族または社会問題化しております。当法人は創業以来、行政と県民と向き合ってきました。無秩序な状況を改善し、安心してお墓を維持できる環境に寄与しております。適切に法律の専門家と連携し解決へ導きます。家族文化の維持が子どもや孫へ継承していく事をお手伝いいたします。
「購入した土地に知らない墓が…」 所有者不明の無縁墓、街づくりや防災の壁に
2018年10月30日 10:11 (沖縄タイムス記事より)
受け継ぐ人がいなくなり放置された「無縁墓」が沖縄県嘉手納町の比謝川周辺に点在し、まちづくりや安全対策に影響が出ている。リニューアル工事を控える町立屋良城址公園には墓が116基あり、9割以上が所有者不明だ。落石・崩落の対策工事が急がれる県営住宅下の崖にも誰のものか分からない墓があり、事業者の県が頭を抱えている。沖縄は家族単位で管理する墓が多く、識者は「少子高齢化を背景に同様のケースが増えるだろう」と指摘する。(中部報道部・篠原知恵)前
落石の危険性が高い県営嘉手納高層住宅下の崖。県有地だが、誰のものか分からない掘り込み墓があり対策が講じられずにきた
落石の危険性が高い県営嘉手納高層住宅下の崖。県有地だが、誰のものか分からない掘り込み墓があり対策が講じられずにきた=嘉手納町水釜次
公園内の墓9割が所有者不明
1979年に整備された屋良城址公園内は、戦後に建てられたとみられる墓が点在する。町は大規模な工事に伴い墓を移す必要があると判断し、2016年度に1155万円をかけて墓の使用実態を調査した。シーミー時期などに張り込んで聞き取りをしても、骨や骨つぼがある30基を含む107基は所有者など手掛かりがないという。
公園に近い、町水釜の県営嘉手納高層住宅下にも所有者不明の墓が数基ある。崩落の危険性がある一帯の安全対策工事を進める県住宅課は、数年前から情報を求める看板を設置、新聞広告も出したが情報はない。
落石の危険性「もう待てない」
墓地埋葬法は、所有者などの情報を求める通知を官報に掲載後、1年待てば土地所有者の判断で無縁墓を改葬できると定める。
町は昨年4月に官報に掲載し、墓前に立て看板を設置した。改葬する法的手続きは整ったが、「大量の墓の改葬にどれほどの予算がかかるか分からない」(担当者)と困り顔だ。
一方で、県は「これまで工事を避けてきたが、台風の影響などで落石の危険性が高くなった。もう待てない」との立場。苦肉の策で、墓の上を避けて安全対策工事を進める方針という。
戦後の混乱期に建墓か
嘉手納町の歴史に詳しい元町教育長の伊波勝雄さん(79)によると、比謝川一帯の墓の多くは戦後混乱期に土地の所有者に無断で建てられた可能性が高い。「米軍基地に土地を接収されて住む場所もなく、一帯に墓が集まったとみられる。大半は墓を守る子孫が絶えたか、移動して空き墓になったかだ」との見方を示す。
墓コンサルタントの金城一さんは「家族単位で管理する個人墓は3世代前後で継承者が絶えることが考えられる。行政や法人が管理する霊園に墓を集約し、無縁化の種を紡ぐのが唯一の対策では」と語った。
無縁墓に苦慮する市町村
管理する子孫が途絶えた無縁墓の対策に、沖縄県内の市町村が苦慮している。寺などが管理する霊園に墓を建てる事が多い県外と異なり、家族単位で個人墓を求める慣習が残る沖縄では無縁化すると長年放置されやすい。無許可の墓も多く、県や大半の市町村も実数を把握できていないのが実情だ。
無縁墓は周辺環境の悪化につながるほか、別の場所に移す改葬にも時間や費用がかかる。北部のある自治体の担当者は「山に多数あるのは把握しているが、縁故者を調べる手だてがない。問題が起きるまで手が出しづらい」と明かす。
宅地造成が進む市部での対策は待ったなしだ。浦添市は7年前、市内約7千基中約300基が「手入れが長年されていない」と試算。沖縄市には建設業者や市民から「購入した土地に知らない墓がある」などの相談が年4、5件あるという。
那覇市は16年前、市内の墓約1万7千基中、無縁墓や空き墓は1100基程度と推定したが、「さらに増えているのは間違いない」(担当者)。
無縁墓の改葬費用は原則、土地管理者の負担。民間地で見つかることも少なくなく、官報掲載などの手続きも最低1年必要で事業の遅れや費用増を懸念する業者も多いという。